キセキは起きなかったけど

手術はあっという間に終わった…ような気になる。
なにしろ、麻酔で寝ていたのだから。

「bambiさ~ん、聞こえますか~。聞こえたら手をあげてくださーい。」

という看護師さんの声に現実世界に引き戻され、
胸の痛みで手術の完了を知る。

すぐにしゃべれるようにもなり、まず最初に聞いたことは、
「今何時ですか?」だった。

時間は6時40分。
手術開始から4時間40分が経過していた。

その返答を聞いて思ったことが、
「キセキは起きなかったんだな。」と言うこと。

入院前、こんな話をママ友から聞いた。
なんでもその人の知り合いも「がん」と診断されたものの、
いざ手術をしてみるとがんではなく、そのまま傷口を縫って手術が終了したらしい。

触診もマンモグラフィーもエコーも細胞診も組織診もすべてクロだった私だけど、
心の奥底では、もしかしたら自分も何かの間違いでがんと診断されたのでは
ないかと思っていた。だってこんなに元気だし。家系ににがんの人はいないし。
乳がんのリスクと言われる要因もほぼあてはまらない。

でも手術は5時間弱。
開いてすぐ縫ったような時間ではない。

手術は無事すんだけど正直とても悲しくなった。
自分にはキセキは起こらなかったのだと。

私には前述の人の話は誤診ではなく、奇跡のように感じられていた。
幼い子供を抱え、ガンを告知され、三日三晩泣き通したといういうその人を不憫に思い、神様がガンを消したのではないかと。

「わきの下も綺麗に取れましたからね。」という医師の言葉もむなしく響く。
転移してたのか…。

…私にはキセキは起こらなかった。

単なる病人。

でも幸せです。

息子が「病室で退屈だったら遊んでね。」と作ってくれたマラカス。

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「お母さん はやく」

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「よくなりますように」



ありがとう。頑張って病気治すよ。


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